No.143219
チームの守備意識のズレと、頼みの攻撃陣も決定力を欠き惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年こそ降格だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、アルビの大黒柱、レオシルバは独りベンチで泣いていた
柳下監督の下で手にした喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のアルビで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」レオシルバは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、レオシルバははっと目覚めた。どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってハッピーターンを食べなくちゃな」レオシルバは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、レオシルバはふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出したレオシルバが目にしたのは、最後席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようなアルビのチャントが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするレオシルバの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「レオ、今日勝てば優勝だ、気合い入れて行くぞ」声の方に振り返った本田は目を疑った
「い…勲さん?」 「なんだレオ、居眠りでもしてたのか?」
「マ…マルシオ?帰国したんじゃ…」 「なんだレオ、かってにマルシオを移籍させやがって」
「エジミウソン…」 本田は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
GK 東口
DF キムジンス 永田充 千代反田充 酒井高徳
MF 田中亜土夢 レオシルバ 本間勲 マルシオ
FW エジミウソン 川又堅碁
暫時、唖然としていたレオシルバだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ピッチへ全力疾走するレオシルバ、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った