本拠地、ビッグスワンで迎えた浦和戦
DF陣が崩壊し大量失点、得点の勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は30敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、藤原は独りベンチで泣いていた
ルヴァンで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の新潟で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」藤原は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、藤原ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」藤原は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、藤原はふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した藤原が目にしたのは、外にまで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにアルビレックスのチャントが響いていた
どういうことか分からずに呆然とする藤原の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ソウヤ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った藤原は目を疑った
「マ・・・マルシオさん?」 「なんだ、居眠りでもしてたのか?」
「ほ・・・本間コーチ?」 「なんだ藤原、かってに本間さんを引退させやがって」
「東口さん・・・」 藤原は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
GK:東口順昭 DF:鈴木大輔 DF:金珍洙 DF:酒井高徳 DF:藤原奏哉 MF :本間勲 MF:マルシオ MF:レオ・シルバ MF:田中亜土夢 FW:川又堅碁 FW:エジミウソン
監督 :反町康治
暫時、唖然としていた藤原だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
玉川からスパイクを受け取り、ピッチへ全力疾走する藤原、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっている藤原が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った