一部抜粋
この日の彼らはゼロトップとも言える川崎の流動的な攻めに苦しんだ。序盤からボールを回され、一方的に押し込まれる展開が続く。「川崎とやる時はいつもこんな感じ。予測通り」と守備の要・昌子源は努めて冷静になろうとしていたが、川崎のベテラン・中村憲剛の方は「今までやってきた相手より中盤の穴が大きかった。ボールがボンボン入るし、前も向けるし、それに戸惑ったところはあった」と驚きを覚えたという。
「あそこで0−0で終わっていたら違う後半になっていた。本当にもったいなかった」と昌子は悔しさをむき出しにした。
悪い流れを断ち切るべく、大岩監督は前半終了間際から3バック移行の姿勢を示しつつあったが、後半からは完全に3バックを採用。「鹿島が伝統の4(バック)を捨てるとは思わなかった」と中村にも衝撃を与える奇策で立て直しを図ろうとした。が、それが逆に混乱を招き、後半開始1分の46分に阿部に早々と2点目を奪われる。その後、しばらくは落ち着いたかと思われたが、72分にはカウンターから家長に3点目を献上。5月19日のホームゲームに続く川崎戦3失点を喫する羽目になった。終盤に鈴木優磨が1点を返したものの、大岩監督体制初黒星。何とか首位だけは守ったものの、常勝軍団とは思えない守備の脆さを露呈することになった。
「奪われ方が悪くて1、2失点目をやられて、2失点目はエウシーニョ選手に行って抜かれて、守りが一歩一歩ズレた結果、阿部さんがフリーになった。3失点目も僕が入ったばかりの(小林)悠君に対応して、家長君にヤス(遠藤)さんがついたけど、あそこは余っていたナオ(植田直通)に行かせるべきだった。家長君のシュートは後ろから見ても左足だと分かったし、ヤスさんに左を切らしてナオがフォローするとか、タテに来たところをナオが見るとか、そういうコンビネーションや声1つで解決できた。それは彼だけの責任ではないから、僕からもしっかり伝えないといけない」と途中からキャプテンマークを背負った昌子は自戒を込めて反省点を口にした。鹿島の最終ラインを統率する者にはそれだけの強いリーダーシップが求められるのだ。
「鹿島のやり方、代表のやり方があるんで、僕はどうこう言えないですけど、回してくる相手にもメリットデメリットがあると思う。回しているチームの方が疲れないだろうけど、回し続けていたら焦れて、絶対にスキが生まれる。今日の川崎も前半30分くらいからちょっとずつイラついて、谷口(彰悟)君、奈良(竜樹)君がかなり前に攻撃参加するようになってきたんで、狙い通りの形になりつつあるなと感じていました。そこでウチがカウンターから1点を先に取れていたら、結果は違っていた。そういうスキをモノにできるかどうか。そこが重要だと思います」と昌子は勝負を分けるポイントを改めて強調した。
川崎との一戦で3失点を食らった教訓を次の大舞台で生かさなければ意味がない。森重真人(FC東京)が長期離脱している今、常勝軍団の守備の要に託されるものはかつてないほど大きい。昌子源にはこれまでのサッカー人生で蓄積してきた全てを出し切るべく、しっかりと気持ちを切り替え、前に進んでほしいものだ。