950041☆ああ■ 2025/01/02 11:31 (Android)
東南アジアからオファー殺到も「帰国」 札幌から受けた衝撃…日本人監督が成功した理由【コラム】
鹿島を退任した岩政氏は昨年2月、ベトナムリーグへ新天地を求めた。不振から監督交代が相次いでいたハノイFCの新指揮官に就任。シーズン途中の就任ながら、ハノイを最終的にはリーグ戦で3位、カップ戦では準優勝に導いた。そのときにはオリジナルの絵が見えていたのか。岩政氏が不敵な笑みを浮かべる。
「映像がたくさん残っていますので、それを見て、それ(オリジナルの絵)があるかどうかを判断してください。ただ、それがあったからこそ、いま僕は東南アジアでたくさんのオファーをもらったと思っているので」
ハノイからは引き続き2024-25シーズンの指揮を執ってほしいとオファーを受けた。しかし、機は熟したと判断したからか。岩政氏は「新たな挑戦を求めて帰国したい」と固辞して日本に戻ってきた。
挑戦の舞台が、すでに昨シーズン限りでのペトロヴィッチ監督の勇退を発表していた札幌だった。新天地でどのようなサッカーを見せるのか。オリジナルの絵をすでに描いていると、岩政新監督はこう続けた。
「おそらく試合を見るほとんどの方は、まったく違うサッカーをやっていると思うはずです。ただ、自分のなかでは鹿島で見えたものの延長線上にいまの絵があって、それが分かる人には分かるかもしれないけれども、実際に見える配置とか選手のつながりやピッチ上で起こっている現象は全然違うものになっているでしょうね。
それがなぜできるのかといえばいろいろな側面があって、自分のなかでしっかりと絵ができあがったのもひとつですが、クラブによってそういうサッカーを望むクラブと、そうではないクラブがありますので。そこに合わせるとか、僕がクラブを変えるまでの時間がどのぐらい必要か、というのはクラブによって変わってくると思っています」
監督就任のオファーを受諾して、指揮を執る作業はチームとの“結婚”によく例えられる。岩政氏もそうした関係を否定しないが、ハネムーンの時期はもう終わったと苦笑する。
「最初は楽しみで始まりますが、その後は苦しいことが次から次へと続くので。それを地道に乗り越えていった先にいいときがたまにあるくらいかな、という感じなので。札幌でも楽しみというよりはもういろいろと動き出していますし、自分の頭をあれこれと巡らしている状態なので、楽しみという時間はもう過ぎました」
昨シーズンの札幌はJ1リーグで19位に終わり、今シーズンは9年ぶりに戦いの舞台をJ2へ移す。
「札幌はミシャさんのアイデアを汲んだコーチたちに、いろいろなことを聞きながらまた組み上げていきたい。これから先、10年ぐらいはどんどん成長して、もっともっと面白い絵を描ける監督になっていきたい」
異国の地で充電を終え、新シーズンの開幕直前には43歳になる青年監督は、1年でのJ1復帰や捲土重来の思いだけでなく、成長への貪欲な思いを胸中に同居させながら、北の大地で新たな挑戦をスタートさせる。