「タダ券は絶対に配らない」J2ファジアーノ岡山の流儀
いかにしてお客さんを増やすか。
飲食店や小売業と同じく、Jリーグクラブの経営者も、常にこのことに頭を悩ませている。
観戦チケット代だけでなく、来場者がスタジアムで使う飲食代やグッズの売り上げはクラブの収入に直結し、それがチームの強化費につながるからだ。
単に入場者の「数」を増やすことを目指すならば、“手っ取り早い”方法がある。
タダ券を配ればいい。
これをすれば、間違いなく入場者は増える。無料で招待するわけだから、もちろんチケット収入はないが、
無料入場者でもスタジアムでの飲食やグッズ購入にはお金を使うし、彼らが生観戦の魅力にハマり、リピーターとなれば、次はチケットを買ってくれる可能性もある。
「『無料なら観に行ってもいいよ』という人が一番多いのはわかっています。でも、うちは一切、無料招待券を配っていません。
シティライトスタジアムの収容人数は1万5600人ですから、有料入場者で満員にしたい。
僕が東京から岡山に帰ってきた当初から『タダ券をよこせ』と言われることは覚悟していましたし、実際に言われることもあります。でもそこはプロクラブとして、『タダはなしです』ということを徹底してきました。
『タダ券をよこせ』という人が、周りから『金を払って行けよ』と言われるような文化をつくりたかったからです」
木村には、忘れられない光景がある。昨シーズンの開幕前、岡山県内の有力者が集まったキックオフ交流会で、ある人物が愚痴をこぼした。
「わしはまだ招待されたことがないけん、ファジアーノのスタジアムに行ったことがないんじゃ」
ファジアーノを激励するはずの場は、ざわついた。しかし、別の人物の一言が、会場の雰囲気と木村の心を一変させた。
「岡山県知事も岡山市長も年間パスを買っているのに、何を招待なんて言っているんだ!」
タダ券を配ることをせず、地道に「プロスポーツとは、お金を払って行くもの」という意識を根付かせてきた木村とクラブの活動が報われた瞬間だった。
親企業を持たないファジアーノが、強化費を捻出するためには、1人でも多くの出資者に、1円でも多くのお金を出してもらうしかない。だから、木村はためらわずにお金の話をする。
『チケットがあったら行くよ』と言われたら、『すみません。実はこれは強化費になるので、ぜひ来てほしいんです』と伝える。
今季第13節を終了した時点での、ファジアーノのホームゲーム平均入場者数は、1万289人。彼らの手には、正規の料金を払って購入したチケットが握り締められている。
------------------------------------
上記はファジアーノ岡山の木村社長についてNumberに書かれたもの。
木村正明社長は東大法学部からゴールドマン・サックス証券に入社して執行役員になった超エリートコースを歩んでいたキレ者で、現在47歳。
その人が地元のためにとゴールドマン・サックスを辞めてファジアーノの社長になった。
そしてわずか数年で観客を増やし、チーム成績もアップ。その功績が認められてJリーグの理事にも抜擢された。
残念ながらどこを切り取っても我が恩田社長より優秀で経験も実績もある人。
「タダ券」を「半額チケット」に置き換えて読めば、今回のFC岐阜の判断がいかに愚策・失策なのかがわかる。