>>838572
かつてのマンチェスター東部――BeswickやAncoats周辺は、19世紀の産業革命期に栄えた工場街だったけど、20世紀後半には工場閉鎖と人口流出で「忘れられた街」になっていた。石造りの古いテラスハウスと空き地が目立つだけで、夜は静まり返っていた。
ところが2002年、コモンウェルスゲームズをきっかけに市東部にスタジアムが建設されると、街の景色は少しずつ変わり始める。そして2011年、エティハド航空がマンチェスター・シティと提携し、スタジアム命名権を取得。単なるスポンサー契約ではなく、「Etihad Campus」として周辺一帯を都市再生ゾーンに組み込むプロジェクトが始まった。
今では、スタジアム周辺にはアカデミー施設、教育センター、住宅、商業施設が整備され、若者や家族が戻ってきている。交通も改善され、地域の雇用も増加。かつて錆びついた工場跡地が、スポーツと教育を軸にした「ブルーの街」に生まれ変わったのだ。
単なる企業名の看板が街を変えたわけじゃない。エティハドの資金とネットワークが、地域の未来をデザインし、マンチェスター東部の再生を現実のものにした。スポーツと都市開発が手を組むと、ここまで街は変わるんだなと、歩くだけでも実感できる場所になっている。