966899☆神夢想一刀流 2025/06/21 04:10 (Android)
男性
審判団の忘年会
約十年前の最終節。
試合後、居酒屋に集合して忘年会をし始めた。
すると、居酒屋の2階の隅に先客がいらっしゃった。最終節を終えた審判団だ。恐らくは各人の帰路の方向も違うからだろう。スタジアム最寄駅の居酒屋という選択。
試合終了から割と早い時間だったので驚いたものだった。
その後間もなく、最終節を終えたサポーターは両軍仲睦まじく交流が膨れあがり、その居酒屋には50人以上は詰め込んでいた。審判団の存在を認識しつつも、耳づたえで、そっとしてあげようと言い合った。声をかけるのは最後の最後にしようと伝えあった。
2時間くらい経過して、帰り支度を始める審判団。みんなに一言だけ頂戴したい旨を伝えた。酔っぱらいのリクエストに、とてもよく応えてくれた。
「両サポーターの皆さん、お陰様で本日もクリーンな試合ができました。1年間、Jリーグを盛り上げてくれて、ありがとうございました!良い年をお迎え下さい!」
そんな内容だったと思う。拍手喝采だった。こちらこそ、ありうございます。
何人かが握手して深々と頭を下げて審判団を見送った。
審判へのリスペクト、というと私はいつもこの光景を思い出す。
あれだけ非難とプレッシャーの中で格別ないい仕事をしても、居酒屋の端っこで、しかも最終節の僅かしか懇親もできない。
審判団には、本当に頭が下がる。
もう審判団は引退されているが、一生の思い出だ。その空間には、ほんのちょっとずつの気遣いとリスペクトしかなかった。