1003779☆ああ 2022/07/30 21:28 (SH-53A)
男性
敵地、日産スタジアムで迎えたマリノス戦
GKのミスから失点、FW陣も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年も無冠だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、キャプテンマークを巻いた優磨は独りベンチで泣いていた
チャンピオンシップで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の鹿島で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」優磨は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、優磨ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」優磨は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、優磨はふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した優磨が目にしたのは、2階席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにアントラーズの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする優磨の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「優磨、ウォーミングアップだ、早く行くぞ」声の方に振り返った優磨は目を疑った
「み・・・満男さん?」 「なんだ優磨、居眠りでもしてたのか?」
「そ・・・曽ヶ端コーチ?」 「なんだ優磨、かってにソガさんを引退させやがって」
「石井さん・・・」 優磨は半分パニックになりながらオーロラビジョンを見上げた
21番:曽ヶ端 16番:山本 3番:昌子 23番:植田 22番:西 8番:土居 40番:小笠原 20番:柴崎 33番:金崎 34番:鈴木
暫時、唖然としていた優磨だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
永木からボールを受け取り、ピッチへ全力疾走する優磨、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った