725647☆ああ 2023/12/21 11:28 (iOS17.1.2)
野々村は2000年にコンサドーレ札幌に移籍し、翌年に現役を引退している。わずか2シーズンのみのプレーであったが、その強烈なキャプテンシーと堅実かつ献身的なプレー、そして気さくなキャラクターで札幌のサポーターの心をわしづかみにした。それまで北海道とは縁もゆかりもなかった野々村だが(出身は静岡)、当人もこの地には良い思い出しかないという。
「こっちに初めて来たときに、札幌の人たちが相当に応援してくれたんですよ。当時はプロ野球(北海道日本ハムファイターズ)もなかったので、メディアの露出も圧倒的に多かった。誤解を恐れずに言えば『初めてプロのサッカー選手になれた』という感じでした。だからいい印象しかない。ただし日本ハムが来てから、状況は変わりました。資本も広告費も、こっちとは比較にならない。全く違うビジネスです。こっちは、なかなかカジュアルな人たちに届かないというジレンマがありますね」
東芝堀川町サッカー部が、北海道に拠点を移してコンサドーレ札幌となったのが96年。そして日ハムが北海道に移転してきたのが04年。8年ものアドバンテージがあったにもかかわらず、今ではコンサはすっかりファイターズに人気面で追い抜かれた感がある。そういえば札幌市内の地下鉄に乗ると、時折ファイターズのラッピングが施された車両が構内に入ってきてびっくりすることがある。それに比べると、街中で見るコンサの露出は極めて限定的だ。それでも野々村は、彼我の差を決して悲観することはない。なぜならサッカーは、ワールドワイドなスポーツだからだ。
「たとえば今、日ハムの大谷(翔平)選手が話題になっていますが、ウチにも深井一希という選手がいます。2年前のU−17ワールドカップ(W杯)に出場して、今年からトップに上がった18歳です。今は大谷選手の方が断然有名ですが、今後は深井の方に海外からの注目度が高まるかもしれない。そうした感覚というものを、もっとメディアも持ってほしいですよね。もちろん、僕らからもどんどん発信していかないといけないんですが」
アカデミーからトップに昇格し、その後J1の強豪クラブに完全移籍した成功例として、いつも挙げられるのが西大伍である。野々村の話を聞いていると、コンサ出身の若いタレントが今後、ヨーロッパのクラブから直接オファーを受ける可能性について夢想したくなる。