ふみ
No.108897
男性 ナオへ
サッカー少年だった頃
僕のポジションは右SHだった。
これといった特徴もなく実力ある訳でもない
平凡な選手でした。
しかし度重なる腰と背中の怪我や
思春期に差し掛かかり色々な悩みから
サッカーをやめてしまった。
サッカーを辞め学校行くのを辞め
ふらふら毎日遊んでばかりいた。
そんな時ある友人に誘われてサッカーを観に行く事になった。
味の素スタジアムで躍動する
右SHの18番に釘付けになった。
躍動感たっぷりにピッチを駆け抜けるその姿は
昔、サッカーをやっていた頃に自分が描いていた姿と重なった。
それから毎回という訳では無いけれど
僕の味の素スタジアムゴール裏観戦記録がのびていった。
声を枯らしながら飛び跳ねたり
黙って戦況や戦術を考えたり
とにかく、自分に居場所が出来た気がして嬉しかった。
そんなこんなであっという間に月日は流れ
僕は学生を卒業して社会人になった年
背番号18の彼は絶好調だった。
物凄い勢いで得点を量産していた。
ゴール裏では「なぁ〜お〜なぁ〜お〜」
と、神のように崇めるチャントも生まれた。
しかし仕事が忙しくて僕は観戦に行けなかった。
僕も彼のプレーを観たい!
そんな想いが溢れて
仮病で仕事を早退して
会社から近い国立競技場のスタンドへ向かった。
久々のゴール裏はいつもに増して熱気に包まれていた。
その試合でも彼はスーパーシュートを決めた。
その瞬間、僕の中で何かが弾けた。
見ず知らずのおじさんとハイタッチしていた。
ゴール裏みんな彼のゴールに魅了されて虜になっていた。
それからも沢山の試合で沢山のゴールを決めていた。
そんな矢先、靱帯断裂の選手生命に関わる、大怪我。
なんだか急に僕まで真っ暗な闇へ突き落された気分だった。
彼がいないチームはどこか寂しげで元気を失った気がした。
しかし彼は諦めずピッチに帰ってきた。
いつもと変わらないスピードと飛び切りの笑顔で。
嬉しくてアウェーのゴール裏まで応援に行ったりもした。
チームも上昇気流にのったあるシーズン。
チームはドイツへ遠征へ向かっていた。
僕は彼がドイツのチームから得点を奪う事ばかり妄想していた。
しかし・・・
その試合でまたしても靱帯断裂の大怪我。
訳がわからなかった。
なんで?なんで?なんで?
浮かれていた自分が恥ずかしくなった。
そして、このまま彼が引退をしてしまうのではないか?
と、恐怖心すら抱いた。
しかし一番辛いはずなのに
彼はここでもピッチに戻る事を約束してくれた。
大丈夫。アイツは必ず戻ってくる。
そんな前向きな感情を抱かせてくれる選手だ。
しかし思うように回復しない怪我。
あっという間に2年が過ぎてしまった。
そんな今年の夏。
今年限りでの引退が発表された。
彼は引退までに絶対に出場する!
彼は引退までにゴールを決める!
そう信じていた。
そして今シーズン最終戦、彼はピッチに立っていた。
あの時と同じように
ピッチを駆け抜けていた。
ゴール裏では何度も彼のチャントが響いていた。
現役引退を告げる、試合終了の笛がなった。
それは寂しくて悲しくて苦しい瞬間だった。
なのに、不思議と彼は笑顔だった。
やりきった。
その言葉に間違いはないんだと思う。
沢山の仲間達に囲まれている
彼の笑顔がとても輝いて見えた。
本当に今まで沢山の笑顔をどうもありがとう。
石川直宏、それは僕の青春そのもの。

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