ああ
No.3344182
コラム】金子達仁
町田は荒々しく挑戦的な「メタル・フットボール」

サッカーにおいて一番心拍数の上がる場面は何かと聞かれれば、わたしは“ゴール前での攻防”と答える。最終ラインからの美しいパス交換もいいが、突き詰めて考えると、ゴール前でのスリリングな場面が楽しみでわたしはサッカーを見ている。いわゆる“堅守速攻”と言われるタイプのサッカーが好きになれないのも、そうしたサッカーを指向するチームの多くが、相手のチャンスを減らすことに腐心し、かつ自分たちのチャンスを増やす意欲に欠けるから、でもあった。

 町田のサッカーは違う。J2での戦いもそうだったが、このチームぐらいオープニングショット、つまりその試合における最初のシュートを放っているところは珍しい印象がある。つまり、彼らは立ち上がりから相手ゴールに迫ろうとする意欲を漲(みなぎ)らせている。


 ではなぜ、町田のサッカーはボール保持率が低いのか。近年のJポップからいわゆるイントロが消えつつあるように、黒田監督が、“サビに入るまでの時間”、すなわち“チャンスを模索する時間”を無駄だと考えているからだろう。相手には無駄があり、町田にはない。その差が、ボール保持率になって表れている。タイパという観念からいけば、町田は時代に即したサッカーをやっているのかもしれない。

 だとしたら、そんな町田のサッカーを旧態依然とした“堅守速攻”なる言葉で片づけていいはずがない。より直截(ちょくせつ)的で、荒々しくて、挑戦的で……わたしだったら、大好きな音楽のジャンルから“メタル・フットボール”とでも呼びたいところ。もちろん、却下は覚悟の上です。(金子達仁氏=スポーツライター)

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