プロメテウス
成程、反骨精神に育まれたカタルシスは我々の自尊心をくすぐります。
成功者の多くが「厳しい」批判を欲するのも、著名な作品が理想の悪役を描き出すのも、敵が憎いほど闘争本能を掻き立て、緊張からの解放が高揚感を増幅させるからです。
ドーピングが副作用を伴うように、現実に産み出した『悪意』は悪意のまま膨張します。
何のために闘うのか?
強迫的な刷り込みから一歩踏み込んだ対話が求められています。
「人間ひとりが、狂うことは稀だが、集団、政党、国家、時代が狂うのは定めである」
湘南の騒動は、イカれた男の顛末でも、非進歩的な人間の末路でもなく、どのような時代にも起こりうる我々の日常の一部だと、私は捉えています。
湘南らしさ、固有の価値基準、全体主義。
光が影をうむように、確固たる信念、強固な信条は、排他的な性質を孕んでいます。
正義に対する真っ直ぐな忠誠心が偏りを助長し、闇雲に子供たちを庇護する精神が無菌室の脆弱さを植え付け、進歩を望む賢しさが書物を焼き思想を奪っていく。
悲しくも恐ろしいのは無自覚な『善意』です。
思いが強ければこそ、冷静に多角的な視点にたって、物事に取り組まなければなりません。
願わくはチョウさんの更正、被害者たちの再起、湘南ベルマーレの発展をもって、Jリーグの非暴力・非暴言化の証として頂きたい。
どれだけ時間がかかったとしても。