352471☆ポポ♂ 2017/12/07 23:40 (Safari)
Number webより #2
「このバス代を、食費に使ってよ」
幼少の頃、両親が離婚している。物心がついた頃には、母と姉との3人で暮らしていた。消防士だった父から毎月仕送りが届いたが、ようやく3人で暮らしていける程の額だった。
月末には母が食費の工面に頭を悩ませていることが、ラファエル少年にも何となく分かった。そこで彼は普段はバスで往復する練習場までの道のりを歩いた。そして「このバス代を、食費に使ってよ」と母に差し出した。
そんなことをする必要はないと言いつつ、その想いを汲みとって微笑む母を見て、ラファエル・シルバは嬉しくなった。少し大人になれた気がした。
生活が苦しくなる時期はあったが、辛いと思ったことはない。末っ子長男のラファエル・シルバにとって、母と姉に支えられる空間と時間は居心地が良かった。むしろ、家族3人でいればいつも笑顔が絶えない。慎ましくも幸せを感じられる日々を送っていた。
しかし16歳の時、その最愛の母マルタが亡くなってしまう。ラファエル・シルバが人生で最も大切にしてきた人を失った。同時に、温もりに包まれたささやかな日々も喪失した。
彼は「結局母のために何もできなかった。その無力感に苛まれた」と振り返る。そして一度、自分自身をどん底の闇へ追い込んだ。慰めや励ましの言葉に触れるだけで崩れ落ちそうだったから、すべてを遮断して自分と向き合ってみた。絶望の淵に身を置き、何かが起きるのを待った。
SNSで差別発言をされても「僕の背中には仲間が」。
「母は僕らのために戦ってくれていたんだ」
ラファエル・シルバは、ふと気付いた。そして、サッカーで上手くいかなかった時、母からよく言われていた言葉を思い出す。
「一度心に決めたなら『自分はできるんだ』と信じて、まっすぐ進みなさい。いつでも前向きに」
そしてもう一度だけ、彼は自らを奮い立たせてみようと決めた。望みを託せるものは、サッカーしかなかった。彼はフットボーラーとして成功を収めてみせると心に誓った。
11月25日、埼玉スタジアムでのACL決勝・浦和vs.アルヒラルの第2戦。4-1-4-1システムの左サイドハーフで先発したラファエル・シルバは、守備に追われて前線に飛び出せず苦戦を強いられていた。
彼が貴重なアウェーゴールを決めた第1戦(1-1)の後、自身のSNSに猿などの絵文字をサウジアラビアの複数の人物に書き込まれた。しかし「こんなことに足を引っ張られることはない」とラファエル・シルバは意に介さず、そして胸を張って語った。
「僕の背中には、もっとたくさんの仲間がついている」
headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171207-00829443-number-socc&p=1より引用