チェックメイト・キングツー
No.36912
男性 諸君、狂いたまえ
まことに小さなサッカーチームが
開化期を迎えようとしている。

小さなといえば、
2016年初年のレノファほど小さなチームは
なかったであろう。

特徴といえばパスしかなく、
人材といえば10年の間、
アルバイトで生計をたてる選手しかいなかった。

レノファ維新によって、
山口人は初めて近代的な
「サッカーチーム」というものを持った。
誰もが「サポーター」になった。

不慣れながら「サポーター」になった山口人たちは、
プロサッカー史上の最初の体験者として
その新鮮さに昂揚した。

この痛々しいばかりの昂揚が分からなければ、
この段階の歴史は分からない。

社会のどういう階層のどういう家の子でも、
ある一定の応援をするために、
必要な声援と根気さえあれば、
男性にも主婦にも子供にもサポーターにもなりえた。

この山口の明るさは、
こういう楽天主義から来ている。

今から思えば実に滑稽なことに、
公務員の他に主要産業のないこの山口の連中が
Jリーグ先進国と同じチームを持とうとした。
サポーターも同様である。

財政の成り立つはずがない。
が、ともかくも近代サッカーをつくりあげようというのは、
もともと維新成立の大目的であったし、
維新後の山口民達の少年のような希望であった。

この物語は、その小さなチームがJリーグにおける
最も古い大国のJリーグのチームと対決し、
どのように振る舞ったかという物語である。

主人公は、あるいはこの時代の
小さな山口ということになるかもしれない。
ともかくも、我々は
3人の人物のあとを追わねばならない。

長州は山口市に、三人の男がいた。

阿武郡に生まれた河村 孝は、
J2リーグ参戦にあたって
勝利は不可能に近いといわれた
J3優勝にいたる作戦を立て、
それを実施した。

監督の上野 展裕は、
JFLの選手を育成し、
史上最強の騎兵といわれる
セレッソ大阪を破るという奇蹟を遂げた。

もう一人は、遠くアルゼンチンより
レノファのパスサッカーに
新風を入れてその中興の祖となった
新監督 カルロス アルベルト マジョールである。

彼らはトータルフットボールという時代人の体質で、
前をのみ見つめながら歩く。
登って行く坂の上の青い天に
もし一朶の白い雲が輝いているとすれば、
それのみを見つめて坂を登って行くであろう。



坂の上の雲より

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