No.2146
 ポゼッションを高め、DFラインからFWまでをコンパクトにして、ゴールを目指すというアーノルド監督の展開するサッカーの全体像は決して悪くない。しかしそうしたサッカーを目指す上でアーノルド監督の練習における意識づけが、仙台にフィットしていない。

 手倉森前監督とアーノルド監督は練習スタイルに大きな違いがある。手倉森前監督は、基本的に練習の最後にミニゲームや紅白戦を入れ、ゲームから逆算した形で体系的な練習メニューを組む。試合2日前の紅白戦の前にほぼ必ず行っていたのは、DFラインのビルドアップからシュートまで持っていく練習だ。

 守備陣も攻撃陣も、どういう道筋でゴールを奪うのか意思統一を図るため、反復練習を繰り返した。スカウティングを基にして対戦相手によって狙うスペースも変わっていた。こうした練習の積み重ねにより昨シーズンまでの仙台において選手が同じ絵を描きゴールに向かえた。守備陣の的確なフィードからゴールにつながった場面が数多かったのもこのためだ。
 アーノルド監督は、ビルドアップからシュートまで持って行く練習はあまり行っていない。試合2日前の戦術練習の日は、ストレッチやパス練習、ポゼッション練習を行った後、DFライン、中盤、FWの守備ユニットの動き方についての指導に多くの時間を費やす。その後攻撃陣がシュート練習を行うが、ゴール前の局面だけでのシュート練習で、守備陣は参加しない。いつまでも攻撃が機能しない原因はここにある。

 前の選手がどうゴールまで向かうのか守備陣がイメージできていない状況では、攻撃陣に良いボールは入って来ない。守備陣と攻撃陣が同じ絵を描けていないのだ。G大阪戦後武藤雄樹が「もっとイメージを共有したい」と話しているが、攻守を分断しているようにも映る練習で選手全員が攻撃イメージの共有を図るのは難しい。

 守備ユニットの練習においても、ポジションの縛りをいつ誰が破って相手からボールを奪うのか、DFラインの背後にボールを出されたらどうするのか、複数人でボールを奪いに行った状態で空いたスペースにボールを出されたらどうするのかといった想定が不足。

 開幕当初から対戦相手の司令塔を捕まえきれず、リーグ戦が進むにつれて弱点はさらに研究された。DFラインを上げている時に背後のスペースにボールを出されたり、人が密集した状態で空いたスペースにボールを出されたりすると一気に相手の決定機になる。かくしてヤマザキナビスコカップ清水戦や、第4節大宮戦ではカウンター攻撃の餌食となった。

 さらに、守備ユニットでの選手の動きに制約があることから、仙台の名物だった左サイドバックからのクロスボールに、右サイドバック菅井直樹がゴール前に飛び込んでシュートする姿も大幅に減った。菅井はシーズンが進むにつれ、機を見てゴール前に顔を出そうとはしているが、その機会はほとんどない。

 


 



 
















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