その2
仙台がJリーグの上位常連チームで、選手が個々の判断で攻守に機転を利かせて動けるチームであればこの練習スタイルでも良かっただろう。従ってアーノルド監督の指導方法が全く理にかなっていないと言うつもりは毛頭無い。しかし、今までの練習スタイルと大きく異なることで、選手たちは困惑。勝てないことで自信を失う悪循環に陥っている。
アーノルド監督はこれまでオーストラリアで成功を収め続けているので、自信を持って自らの指導スタイルを前面に打ち出して練習を進めたのは当然だろう。日本人コーチ陣もそれを尊重してきたのは無理もない。
しかしここまで攻守に機能せず、大敗を繰り返している状況であるならば、大胆な変化が必要だ。まず日本人コーチ陣も今までどういった練習でチームを作ってきたかアーノルド監督に進言し、より選手に意図の伝わりやすい練習に変えていく必要があるだろう。
シーズンが進むにつれて日本人コーチの指示により、クロスボールからコンビネーションでのシュート練習を行うなど、徐々に昨シーズンまで行ってきた練習メニューを採り入れる動きは見られるが、さらなる努力が必要だ。
あとは攻守に全く機能していない状況なので、やることを整理する必要がある。現実的には攻撃を捨てるか、守備を捨てるかだろう。今までの仙台のやり方から考えれば、攻撃を捨てる方が自然だ。
自陣で強固な守備ブロックを作り、カウンター攻撃に活路を見出すやり方に戻すのも良いし、前から激しくプレスをかけショートカウンターを仕掛けるやり方に戻すのも良いだろう。
ただ、そうなるとよりポゼッションを高めるために今シーズン補強した八反田康平、武井択也、鈴木規郎らが生きない可能性がある。思い切ってそうした選手を生かす形に変えて、ポゼッションを高め攻撃のテンポアップを図るのも一つの手だろう。
分かりやすく変化のメッセージが伝わって意思統一ができ、短期的に効果を上げられる方法なら何でも良い。今シーズンはワールドカップによる中断が入るので、チームの根本からの修正はその時にやるしかないだろう。
かつて仙台では2004年ベルデニック監督、2005年都並敏史監督が開幕直後極度の不振に陥ったことがあった。両監督とも自らが開幕前に掲げた理想をかなぐり捨て、戦術をシンプルにしてチーム状態を上向かせた。アーノルド監督にもオーストラリアでの成功体験をかなぐり捨て、今の仙台に合った指導でチーム状態を上向かせることが求められる。
まずは29日の甲府戦、そして4月2日ヤマザキナビスコカップFC東京戦がホーム2連戦となるので、そこでチームの変化を仙台サポーターの前で何としてでも見せたい。角田誠とウイルソンの復帰が見込まれるこの2試合で2連勝できなければ、サポーターの信頼を回復することは難しくなる。仙台がここから這い上がれるか、残留争いに巻き込まれるかはこの1週間にかかっている。