25457☆官兵衛 2014/10/31 14:51 (iPhone ios7.1.2)
J SPORTS PRESS のコラムより
柿谷曜一朗(現バーゼル)と山口蛍の両日本代表選手を擁し、2010年南アフリカワールドカップMVP&得点王のディエゴ・フォルランを獲得したことで、今季開幕前はJ1、Jリーグヤマザキナビスコカップ、天皇杯、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の4冠も夢ではないと期待されたセレッソ大阪。その彼らが今季J1残り4節というところで勝ち点30の17位に沈むなど、一体、誰が予想しただろう。クラブ側も選手たちもサポーターもこの事態を今も受け止められずにいるのではないだろうか。
堅守速攻型のスタイルを突き詰めて結果を残したレヴィー・クルピ前監督のスタイルから、今季就任したランコ・ポポヴィッチ監督の志向したパスサッカーへの転換の失敗、柿谷を中心としたFW陣の得点力不足、フォルランの不調、6月から指揮を執ったマルコ・ペッツァイオリ監督によるテコ入れの失敗、キャプテン・山口の長期離脱…と、彼らの低迷要因を挙げればキリがない。9月には南野拓実らをU-18時代に指導した大熊裕司監督が残留請負人を託され、チーム状態は確実に上向いたと思われたが、好不調の波は依然として大きい。9月以降、リーグ戦での連勝が一度もないのが、現在の苦境を色濃く物語っている。
そんなC大阪を軸に、清水エスパルス、大宮アルディージャ、ベガルタ仙台、ヴァンフォーレ甲府の5チームが目下、J1残留争いを繰り広げている。30試合終了時点では清水と大宮が勝ち点31、仙台と甲府が同33でそれぞれ並んでいて、混沌とした状態になっているのは間違いない。
このうち、チーム状態が最もいいと言えるのが甲府ではないだろうか。10月26日の川崎フロンターレ戦を2−1で勝ち切るなど、選手たちに勢いと自信が生まれている。リスクを最低限にしつつ、激しい守備からスピーディーな攻めに打って出るという城福浩監督の戦術も浸透。「我々はいつも内容的にはいいサッカーをしている」と指揮官も語気を強めていた。それを結果に結びつけるのが一番難しいところだが、ベテランの盛田剛平、石原克哉、今季途中加入した阿部拓馬ら前線の日本人アタッカー陣が調子を上げてきたのも大きい。もともと甲府は守備の固さに定評があり、今季通算失点もリーグ5位の30。だからこそ、得点の可能性が広がってきたのは大きい。
甲府と対照的に守備が落ち着かないのが、大宮と清水だ。彼らの今季通算失点はそれぞれ55と53。これはリーグ最少の横浜F・マリノスの倍以上の数字だ。最近の戦いぶりを見ても、大宮は横浜に3失点、神戸に2失点と大量失点を繰り返している。清水にしても3試合で5失点と歯止めがきかない状態だ。それをいかに減らすかを考えるのが、J1残留への一番の近道ではないだろうか。大宮の渋谷洋樹監督、清水の大榎克己監督はいずれも今季途中からJリーグクラブを初めて率いた指揮官。渋谷監督は大宮や甲府などで長年、アシスタントコーチを務めていて、残留争いの厳しさを肌で感じているが、自分自身が全て決断する今の立場とは違ったはず。その難しさをひしひしと感じているだろう。こうした経験不足をいかにして補うのか。そこはC大阪の大熊監督、仙台の渡邉晋監督にも共通する部分だけに、気になるところだ。