395998☆ああ 2022/06/16 16:33 (Chrome)
>>395970
不貞行為が職場に発覚するなどの社会的制裁を受けたことをもって慰謝料が減額されるべきであるという主張がなされることもあります。
今回は、このような不貞行為者からの主張について判断した裁判例をいくつかご紹介したいと思います。
東京地裁令和2年9月25日判決
このケースは、被告が不貞行為の発覚がきっかけとなって勤務先を退職せざるを得なくなるなどの社会的制裁を受けたとして、その点を慰謝料の減額事由として主張しましたが、裁判所は以下のように述べてその主張を排斥しました。
「被告が社会的な制裁を受けているとしても、不法行為制度における慰謝料の支払は制裁ではなく、また、訴外○○の方が交際に積極的であったとしても、それは訴外○○の責任が被告に比べてより重いということに過ぎないから、これらの事情を踏まえても慰謝料額についての上記認定は左右されない。」
東京地裁令和元年12月23日判決
このケースでは、原告が被告の職場に申告を行った結果、被告が職場での信用を失墜し、今後何らかの処分を受ける可能性もあり、すでに社会的制裁に服したとして慰謝料の減額を求めましたが、この判決も以下のように述べてそのような主張を排斥しました。
「被告はすでに社会的制裁に服したなどと主張するが、これは、被告が自ら招いた事態ともいえるのであり、慰謝料の減額事由として斟酌することは相当でない。」
東京地裁平成30年1月29日判決
このケースは、不貞行為の発覚によって不貞行為者自身が自分の配偶者と離婚するに至った点を慰謝料の算定要素として掲げています。
「被告は、上記の結果としてBとの離婚に至っていることが認められ、これにより被告も相応の社会的制裁を受けたものと認められる。」