112249☆GOAT 2020/08/16 13:39 (iPhone ios13.6.1)
・岩尾憲はチームの象徴
攻守の軸はキャプテンの岩尾憲。徳島では5年目、32歳のベテランだが毎年ほぼフル出場という鉄人だ。ボランチとしてパスワークの中心になっている岩尾はほとんどミスがない。ミスが少ないだけでなく、状況を的確に読んで正しい選択をする。テクニックがあるので無理も利く。遠藤保仁(ガンバ大阪)に似た司令塔だが、攻撃だけでなく守備面でのハードワークも素晴らしい。技巧と頭脳と運動量の三拍子揃ったチームの鑑ともいうべき存在だ。
不変のプレースタイルの象徴が岩尾なら、常に変化していくダイナミズムを毎年変わっていくアタッカー陣が表現している。
特徴的なのは、徳島のアタッカーには小柄なテクニシャンが多いことかもしれない。西谷和希、渡井理己、小西雄大、梶川諒太、杉森考起は、いずれもキレのあるテクニックが持ち味。テクニックは間違いないがフィジカル面でどうかという、日本によくいるタイプのアタッカーなのだが、徳島で彼らが活き活きとプレーしているのは、パスワークというチームの基盤がしっかりしているからだろう。
フィールド中央でパスを捌く岩尾のようなタイプも、実は日本にはけっこういる。技巧派たちが徳島という場を与えられたことでポテンシャルを開花させている。つまり、スペイン人のロドリゲス監督の掲げるプレースタイルが日本人に合っていたということだろう。論理に裏打ちされた「場」の確立によって、選手たちの眠っていた能力が発揮され、徳島の表現として結実している。
・戦術が個性を活かす
徳島からJ1のクラブへ移籍していった選手が多い。大崎怜央、渡大生、山崎凌吾、呉屋大翔、馬渡和彰、杉本竜士、広瀬陸斗……。来季も徳島から飛躍している選手が出てくるに違いない。
ポジショナル・プレーという戦術が選手の助けになっている、より上手くプレーできる基盤になっているが、それが技術面の進歩にもつながっているようだ。
簡単な見方でいうと、徳島の選手はボールを持ったときに足下から離れていない。ボールを失うのはパスミスか、ボールが足下から離れたときだ。次のプレーの選択肢を持っているせいか、判断に迷いが少なく、足下からボールを離さずスムーズに次のプレーへ移行している。
そして、変更が必要なときも足下にボールがあるので変更が早い。ポジショニングが選手の判断を助けているが、それを塞ごうと相手に詰められたときには技術で解決している。戦術が選手を縛るものではなく、生かすものとして機能していて、逆に選手の技術が戦術的な目詰まりを解決しているときもある。
このチームの前線では珍しい長身の垣田裕暉は空中戦の強さだけでなく、スピードもあり足下も器用で守備でも献身的な、走れるポストプレーヤーだ。外国籍選手に頼りがちなポジションだが機動力のあるタイプは少ないので、その点で垣田は面白い存在だろう。得点感覚に優れた河田篤秀、右サイドのクロッサーで目下最多アシストの藤田征也など、選手の個性が目立つのも徳島の魅力だ。
確固とした戦術があるが、それに選手が埋没せず、むしろより個性を発揮する。サッカーの表現の仕方として、徳島はとても筋がいいのだ。