198734☆スカパー 2021/11/28 09:43 (iPhone ios14.8.1)
岩尾もコーチもすばらしい
「少しクイックにボールを入れるという修正が」
そのとき、岩尾憲はいつもより少しだけ急いだ。66分の左からのCK。
ニアに味方も敵も寄せておいて、できたファーのスペースにストレートボールを送り込む岩尾のテクニックは会心だった。走り込んできた宮代大聖がしっかりとボレーでたたき、GK谷晃生が弾いたボールを岸本武流が押し込んで、これが決勝ゴールになった。
急いだ、というのは、蹴るタイミングのこと。
「前日のコーナーの練習はもう少しセットした状態で行っていました。ただ、セットする時間を待つと湘南さんはセットプレーに対してアラートかつタフなので、気づきにつながる時間を与えてしまって狙いがバレてしまうかもしれないという話が、前迫(雅人)コーチからありました。なので、前日練習と今日で変わった点として、僕らは早くオーガナイズを作って少しクイックにボールを入れるという修正が今日入りました。そういったところでも前迫コーチのアラートさが得点につながったと思います」
分析担当コーチによる鮮やかなスカウティングと、それを生かしたベンチワークと、選手の技術のコラボレーションだ。
湘南と残留争いの直接対決で、ともに勝ちたいが、負けたくない無意識が働いて、前半はお互いに無理はしない流れ。
「相手のプレスを見て、ある程度ボールを持てることはすぐに分かりました。ただ、ボールを持てたとしてもどこに穴があり、相手の守備の受け渡しを含めてどこにひずみがあるのかはポジションチェンジしながら試行錯誤しました。相手もかなり整理されていて、効果的なボールの動かし方はあまりできなかった前半だったと思います」
まさしく徳島のコントロールタワーである岩尾はしかし、落ち着き払っていた。
「とはいえ、サッカーは90分です。相手が良いオーガナイズをする中でギャンブルのようなプレーを選択するのではなく、焦れずにプレーすればどこかでチャンスが来ると思いながら前半は様子も見ていました。それは、決して無駄ではありませんでした」