87065☆ああ 2019/07/26 00:27 (iPhone ios12.3.1)
内田裕は影で様々な苦労を経験してきた選手だ。ガンバ大阪から2015年に徳島へ加入して16年には完全移籍を果たし、長島裕明監督(現・松本山雅FCヘッドコーチ)体制の下で不動の左ウイングバックに定着。ただ17年のロドリゲス監督体制になってからは途中出場の役回りが増え、悔しそうな表情を覗かせる日々が続いていた。
しかし、その時間を無駄にすることなく、自らのプレーと向き合ことで「今はロドリゲス監督体制になって3年目の中で、チームとして必要とされていると一番感じている。使ってもらっている時に、しっかり結果を残して絶対外されないような存在になっていきたい」と話す。
その内田裕がもっとも影響を受けた選手について話す機会があった。その選手とはG大阪時代の先輩であり、徳島へ同時期に移籍した佐藤晃大だ。「いつもきっかけになるのは佐藤くん。佐藤くんは覚えているかどうか分かりませんが、(徳島の加入初年度に)ポゼッションの練習で全然上手くいかなかったことがあります。その時に、初めて佐藤くんに怒られました」。まず、その話を聞いたときに物静かで縁の下の力持ちの役回りのような佐藤が“怒る”ことがあるのだと意外な一面を知った。
佐藤晃大の一言により「スイッチが入った」
「何をするために徳島に来たか考えろ」内田裕斗を蘇らせた先輩・佐藤晃大から愛のムチ
「指導したわけではない」と話す佐藤。しかし、内田裕の心には強く響いていた。写真:徳原隆元
「今のままでは試合に出られないぞ。何をするために徳島に来たか考えろ」
内田裕が記憶する佐藤のその一言により「スイッチが入ったというか。あの言葉は自分の中で、すごく大きかった」と変化のきっかけになった。佐藤にもその話を尋ねると「指導したってわけではないですよ(笑)」と前置きしながらも「出場できなくても不貞腐れずにやった方がいい。不貞腐れるのは簡単だが、成長するために来たわけだから。そう話したことがある」と振り返る。
コメントからすると両者の記憶に若干の違いはあるようだが、いずれにせよ内田裕と佐藤の間にある確かな信頼関係を感じさせられた。
そして「今年は11節の京都戦から自分の良さを出せるようになりましたけど、その時も自分を信じて最前線で動いてくれたのが佐藤君でした」。その京都戦を機に、内田は先発出場を続けている。
徳島が右肩上がりに成績を伸ばした背景には、こういった各々のドラマも存在する。それも含めて「チーム」という組織力なのかもしれない。