97188☆ああ 2019/11/21 12:18 (iPhone ios13.1.3)
シーズンが大詰めを迎えるこの時期、優れた監督が積み上げてきた仕事は確実に
そのことを強く印象づけるのが、徳島のリカルド・ロドリゲス監督だ。
最終節を残して、20勝10分け11敗の5位。自動昇格の2位以上は逃したが、最終節に勝てば昇格プレーオフ進出が決まる。
徳島が素晴らしいのは順位だけではない。就任3年目を迎えるリカルド監督は、自分たちがボールを動かし、ゲームを支配する、プレーで唸らせるチームを創り上げた。
結果と内容の両立。これはなかなかできることではない。
「どこかに道があるので、慌てない」
徳島のプレイスタイルは「ボールを持つことを恐れない」、このひと言に尽きる。
直近のゲームとなった東京ヴェルディ戦は2-1で勝ったが、とくに前半は押し込まれる時間帯が続いた。
それでも苦し紛れにボールを蹴ることは滅多になく、3バックとキーパーが丹念にパスをつないで敵のプレスをかいくぐりながら、ボールを確実に前へ運んだ。
この組み立ての精度が、徳島は非常に高い。
敵のプレスを受けても、パスコースの確保と落ち着いたキープによって、しっかりとボールを保持し、前に持ち出す。ほとんど慌てることはない。
実際にプレーする選手たちは、どういう感覚でプレーしているのか。今季水戸から加入、この日決勝点をアシストした田向泰輝にたずねた。
「自分がボールを持って敵が寄せてきても、こことここには必ず味方がいてくれるという信頼関係があります。どこかに道があるので、慌てることもありません。プレッシャーから逃げたら自分たちの大事なものが失われる、そんなこだわりはありますね」
敵のプレスをチャンスに変える。
田向はもう一歩踏み込んで、パスコースの作り方について端的に教えてくれた。
「敵を引きつけることで、そこから生まれるスペースを突きます。これは正直、適応が難しいサッカーですが、1年やってきて少しずつわかってきた印象ですね」
これで腑に落ちた。敵のプレスを受けることが、チャンスにつながる。
そのことを知っているから、徳島の選手は寄せられても慌てない。むしろ、寄せてくるのを待っているのだ。敵のプレスを受けながらボールをつなぎ、いつの間にかチャンスが生まれる。
2-1で勝った東京V戦でも、そうしたシーンが何度もあった。47分に生まれた2点目は、まさに徳島の真骨頂。
左サイドのスローインから右へ回し、右から中央に入ってもう一度右に展開。右サイド深く侵入した田向からの折り返しを、ファーサイドでフリーになった河田篤秀が押し込んだ。