No.158370
Believe
ファーストステージ、サガン鳥栖は勝ち点を積み重ねるのに苦労していた。マッシモ・フィッカデンティ監督が新たに着任した今シーズンは、4勝8敗5引き分けと大きく負け越し、15位に低迷。残留争いに引きずり込まれそうな体たらくだった。 ところが心配されたセカンドステージは、(6節終了段階で)4勝2引き分けとロケットスタートに成功。第6節には、ファーストステージで優勝した鹿島アントラーズを1−0と撃破した。残留争いからは抜け出し、ステージ優勝も狙える3位まで浮上している。
では、何が変化したのか?
「(フィッカデンティ体制になってから)つなごうとする意識は明らかに上がっています。蹴っていたところをつないで時間を作ったり、ひと呼吸をおけたり、効果的になったかなと。一方でここに早く(前に)入れてくれたら、というチャンスを逃すところもあって。判断の部分を高めているところですね。プレーの優先順位をうまくつけられたら……という手応えはあります」
エースFWとしてチームを牽引する豊田陽平は、セカンドステージ開幕戦の勝利後に語っていた。判断の力がいよいよ充実してきたのか。
今週末に行なわれるガンバ大阪戦は、その真価が問われることになるだろう。
イタリア人監督フィッカデンティは、伝統としてきた朝日山での走り込み(山道を何度も往復する)を行なっていない。しかし練習のきつさは、「チームでも過去最高です」と豊田が明かしている。
「プレシーズンが始まって大雪があって連休があったんですが、以降は開幕までずっと休みがなくて。開幕してからも月から金までずっと練習で、2部練もあります。ウォーミングアップからしてすごく長くて入念というか、Jリーグのチームの中で一番走っているんじゃないですかね?」
鍛えて勝つ、という鳥栖の哲学は脈々と生きている。
ファーストステージで不振だったのは、ひとえに新監督の新戦術が浸透するのに時間を要したからだろう。4−3−1−2というシステムはイタリアでは一つの潮流だが、日本国内では馴染みが薄い。例えば中盤は守備のときに3人でスライドを繰り返し、走力と連係を同時に高める必要がある。ボランチとも、サイドハーフとも、戦術的に違う動きが求められるのだ。
「相手の攻撃をサイドに限定し、追い込んだら、『絶対にサイドチェンジさせるな』と監督には言われます。ただ、敵もそこはうまい。中盤がスライドしてはめても、なかなか簡単にはいかなくて。でも、マッシモは”俺を信じろ”と言う人。選手たちは監督を信じてやってきました」
豊田が語るように、多少の混乱はあったものの、守備の決めごとは徹底されていた。選手たちは迷わずに挑み続け、どうにか形になっていった。不振のファーストステージも、失点の少なさは優勝した鹿島アントラーズに次いで2位。そして守備の安定化が、時間差で良い攻撃をもたらした。ファーストステージに1試合平均1点未満だった得点力は、セカンドステージに倍まで増えたのである。