521986☆ああ 2020/05/08 18:09 (iPhone ios13.4.1)
LIGHTzの乙部信吾社長は、「思考」のAI化というアプローチのメリットについて、次のように語る。
「これまでのAIやデータ分析は、例えばサッカーならば、ボールがどう動いたのか、選手がどれだけ走ったのかなど『個』のデータでした。実際の試合ではボールを持っていない選手の動きを含め、連動性やフォーメーションの位置取りが重要であっても、『個』のデータではそれを分析できません。選手の『思考』を可視化したデータであれば、チームワークや連動性の問題を解くことができます」
他にも、「思考」という主観的な要素を考慮することで見えてくることがある。
「サッカーで試合中の走行距離を測定し、それがナンバー1だったら、その選手は良かったと思われがちですが、実際には走らなくてもよい場面で走っただけかもしれません。どのような意図で走っていたのかなど、走りの質を見るためには、客観的なデータだけでなく『思考』という主観的な要素を含めて考える必要があります」
それでは、スペシャリストの「思考」のAI化は、どのようにして実現されているのか。スポーツ選手は饒舌な人ばかりでなく、必ずしも言葉で表現するのが得意とは限らない。LIGHTzは独自のヒアリング手法を駆使し、スペシャリストとの対話を重ね、複雑な思考を整理していく。
「ヒアリングは基本、2時間×8回。週に1回、2時間のヒアリングを8週間にわたって行い、プレー中にどんなことを考えているのか、言葉をひたすら積み上げていきます。最初は『何も考えていない』と話していた選手でも、試合の動画を見ながら、『ここで何を見ていたのか?』『なぜそう判断したのか?』など1つ1つのプレーについて言葉を引き出していくと、どういった状況でどのような判断をするのか、思考回路が見えてきます。私たちは、そのようにして収集・解析した思考を『ブレインモデル』という形式に落とし込み、視覚的に把握できるようにします」