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イングランドフットボールにおける「監督」は、長らく“Manager”として表現されてきた。一方で、バスケットボールやアメリカンフットボールなど、アメリカンスポーツの多くでは現場の最高責任者を“Head Coach”と呼ぶ。これらの呼称は文化的、あるいは組織における権力の分配構造の違いからくるものという側面もあるので、実際にはどちらもおおよそ日本語で言うところの「監督」というニュアンスで使用されているに過ぎないという見方もできる。
“(Head) Coach”は自チームの戦術/技術的な側面に重点を置き、次のゲームに勝利することを最大の目的とするのに対し、“Manager”はチームをより長期的、あるいはより広い視点で発展させていくことを目的とし、施設やスカウト、選手との交渉といった強化やインフラ整備などより幅広い役割を担うことになる。
イングランドフットボールにおいて、“Manager”が現場の最高責任者とされてきたことのロールモデルになるのは、マンチェスター・ユナイテッドを率いたサー・アレックス・ファーガソン、そしてアーセナルを率いたアーセン・ベンゲルの2人だろう。彼らはいずれも長期政権の中で、日々のトレーニングや采配に加えて、明確に強化部門の責任者としてクラブにおける強化の意思決定を担っていた。
監督職がManagerと称される場合、直轄のNo. 2としてHead Coachを役職として置くことがほとんどである。監督(=Manager)のキャラクターにもよるが、この場合のHead Coachは上記の違い以上に権限が委譲されない場合が多いように思える。先ほどの説明を思えば、本来的にはManagerは広い視点を持って全体の最終的な意思決定を行い、Head Coachはよりフットボールにおける専門性を備え、チームパフォーマンスに関する権限をかなり握るべきように思える。しかし実際にはManagerはフットボールの現場においても専門家、最高責任者然として振る舞ってきた。仮にHead Coachの方がフットボールにおける専門性や戦術/戦略的判断に長けていたとしても、最終的な意思決定はManagerを担う人物の考え方や傾向が色濃く反映されるケースは実際に多く思える。