730788☆ああ 2023/09/10 11:50 (iOS16.6)
>>730725 少し改版させて頂いた

男は夢を見ていた。
ある小雨の降る昼下がり、大宮公園を1人歩いていると遠くから太鼓の音とまばらな歓声が聞こえた。
「一体なんだろう」男は歓声のする方へ吸い込まれる様に向かって行った。
「大宮公園サッカー場…サッカーをやっているのか…」そこには古ぼけた小さなサッカー場があった。かつてはNACK5スタジアムと呼ばれていたスタジアムだ。何の試合だろうと調べてみると、どうやら大宮アルディージャというチームが試合をしているようだった。

「今日は無料で観戦できますよ。雨ですけど宜しければどうぞ」スタジアム入り口で小柄な女性から声を掛けられ、男はスタジアムへと入って行った。

試合は既に後半の途中、1-1のスコア。どんよりとした天気と同じように両チームとも動きが重く、時間だけが過ぎていく。

このまま終わりかとスタジアム中の誰もが思う中、1人の男が試合を決めた。

「ただいまの得点は87分…南葛SC大前元紀…」

そして試合は終わった。試合終了と共に雨足は強まり、まばらなホームサポーターは雨に打たれながら下を向いていた。ややぽっちゃりした今日のヒーローはビジター席のサポーターへ向けて歓喜の咆哮を向けていた。

2026年シーズン、大宮アルディージャは関東1部リーグに主戦場を移していた。ここまで5試合を消化し2勝1分2敗と苦しい戦いが続いている。気づくとサポーター達は雨に濡れた段幕を片付け始めていた。

「OMIYA PARK LIFE」そう彼らにとって大宮アルディージャは人生そのものなのだ。

人生は続く。フットボールも続いていく。
来週彼らはまたスタジアムへと集まるだろう。次の試合の結果なんて誰も知りやしないのだから。

片付けが終わる頃には、雨は止んでいた。
そう、止まない雨はないのだ。
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