No.993327
誰も好き好んでそこにいるわけじゃないけれど、
ときどき、気づいたらそこにいる。
たとえば、迷子みたいに。
新聞は数字を並べるし、
ネットは好き勝手に言う。
でも本当のところなんて、
誰にもわからない。
そのピッチの重さも、風の冷たさも、
ベンチから見上げる空の遠さも。
だけど僕は思うんだ。
君たちが走るたびに、
ほんの少しだけ世界は、
マシな場所になるんじゃないかって。
一つのパス、一つのシュート。
それが何かを救うわけじゃない。
だけど、何かを変えるかもしれない。
たとえば、誰かの週末を。
たとえば、誰かの孤独を。
だから走る。
苦しくても、結果が出なくても、
君たちは今日もボールを蹴る。
不器用で、報われなくて、
それでも君たちは、
ちゃんとサッカーをしている。
それがどれだけすごいことか、
きっと君たちより、僕たちの方が知っている。
春は終わって、
夏が始まろうとしている。
その季節の狭間で、
僕はそっと祈っている。
どうか、風が追い風になりますように。
どうか、そのトリコロールが、また輝きますように。
僕は待っている。
夜の底から君たちが帰ってくるのを。
きっと帰ってくるって、
何の根拠もないけれど、信じてる。