何とも出来の悪いミステリを読んだあとのような、もやもやした印象。上巻のコロンビア編に続き下巻のボリビア編というわけだけど、上下とも何のスペクタクルもなければ、驚きもない。作者のモリヤスはミステリの常道というべき伏線もはらず、ただただ登場人物を配置し、あとは放っておく。下巻ではカガワという探偵が動き回るが、肝心なところで犯人を逃す。そこで少年探偵のミナミノとドーアンを登場させ犯人捜しを追求させるが、この二人、自分独りで功を焦り、周囲の仲間を利用することをしない。結局犯人を射止めたのはナカジマという中東帰りの若者だが、どうも手柄を横取りされたようでミナミノは面白くなさそうだった……。
で、この作者のモリヤス、今後面白いミステリを書けるのか心配になった。気の利いたトリック(戦術)や作者の言わんとするテーマなどがまったく表現されていないからだ。もう十作以上出したけれど、なるほど!と首肯した作品は見あたらない。初期の作品でちょっと高評価をもらった三人組にこだわりすぎており、融通無碍な発想を阻害しているのではないか。大主人公オーサコが登場しないと犯人捜しの形すらまとまらないように思える。
六月に新作が二冊出るし、そのあとは南米編が控えている。果たしてオーサコ抜きの長編は書けるのか、読者としては大いに心配だ。出版社はこのまま放っておくのかね?
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