63355☆ヴェッキア・シニョーナラ 2021/01/20 02:08 (iPhone ios14.3)
男性
「サッカー批評」記事続き
1点目は、ハキミがフラボッタを1vs1で中央に引っ張り、大きく開いたサイドのスペースにバレッラが入ってクロスを上げた。ラムジーは途中までバレッラについていたが、切り込んできたハキミの相手をしようとしてマークを放した。
2点目は、ディフェンスラインからのビルドアップと思わせておいて、アレッサンドロ・バストーニからバレッラに一発でロングボールが繋がった。ルカクがキエッリーニを中央に引っ張り、ハキミはセンターラインのタッチライン際に張り付いてフラボッタを足止めし、バレッラが一気にスペースに走り込む、という仕組みで、試合後バストーニは「何度も練習していた」と明かした。チームとして用意していた作戦通りの一撃で、これによって試合は決した。ラムジーはバレッラについていけず、フラボッタは後ろから追いかけたものの間に合うわけがなかった。
海外の言い回しで言うならば、コンテ監督がピルロ監督に教育をした、となるだろう。理想を追求しながらも、現実的な対応をしなければならない時はある。可変フォーメーションの弱点を突かれた場合は運動量でカバーできる。個の運動量で上回られる場合はポジショニングで対応できる。しかし、どちらもやられてしまった場合には、その試合では理想を捨てなければならない。
この試合でピルロ監督が敗れた最大の原因は、ベンタンクールを消されたことでも、左サイドが崩壊したことでも、中盤が運動量で攻守共に負けたことでもない。理想を捨て、相手が嫌がることをしようとしなかったことだ。
2-0としたインテルにとって最も嫌だったのは、ロナウドをフィニッシャーとして専念させられることだった。しかし、選手交代で左サイドを修正したユべントスがロナウドに高いクロスボールを入れることはなかった。ようやくベンタンクールにボールが入るようになり、当初のプラン通りに試合をしようとし続けただけだった。デヤン・クルゼフスキが右サイドを上がっても、わざわざグラウンダーのボールを選択した。戦術に関係なく問答無用でゴールを奪うことができるロナウドにどうにかしてもらおう、という意思はチームとして全くなく、インテルは怖さを感じずに試合を終わらせることが出来た。ある意味ピルロ監督の意地を感じさせるものだったが、イタリアだけではなくヨーロッパのトップを目指すチームとしては、なりふり構わず同点を目指すことも出来なければならない。
国内では個で上回られることが中々ないユベントスで指導者としてのキャリアをいきなりスタートさせたピルロ監督にとって、この敗戦でコンテ監督が教えてくれたことは貴重なものとなっただろう。