白橋
No.948169
「安い失点の向こう側」

試合が終わった。

スコアボードは残酷だった。

あと少しだった。
手を伸ばせば届きそうだった。
先にゴールを奪ったのも、モンテディオ山形だった。

なのに、届かなかった。

たった一本。

監督は言った。

「安い失点だった」と。

確かにそうなのかもしれない。

背後を取られて。
追いつかれて。
また背後を取られて。
そして、終わった。

サッカーという競技は残酷だ。

120分積み上げたものが、
たった数秒で崩れてしまう。

安い失点だったのかもしれない。

でも、その失点の裏側には、
決して安くない時間があった。

真冬のトレーニング。
走り込み。
悔しい敗戦。
勝てない日々。

前半戦ずっと続いた試行錯誤。

ハーフラインを越えられない苦しみ。
シュートを打てない苦しみ。
決め切れない苦しみ。

毎週のように現れる課題。

それでも次の週にはまた練習場へ向かう。

その繰り返しだった。

だから私は、
あの失点だけでこの半年を語りたくない。

もちろん悔しい。

悔しいに決まっている。

勝てたかもしれない試合だった。

プレーオフを勝ち上がる未来だって、
確かに見えていた。

だから苦しい。

だけど。

足が止まりそうになっても、
前線で戦い続けた。

選手たちは最後まで走った。

サポーターは最後まで歌った。

誰も途中で諦めなかった。

それだけは事実だ。

結果は負けだった。

順位も変わらない。

記録には敗退と書かれる。

でも。

あの日NDで聞こえた声も。

最後まで走った足音も。

項垂れながらピッチを去る背中も。

全部、本物だった。

だから今は。

怒りよりも。

犯人探しよりも。

「なんでだよ」という叫びよりも。

ただ悔しさを抱えたまま、
少しだけ前を向きたい。

課題が出て、
修正して、
また違う課題が出る。

その繰り返しだ。

ならば、この敗戦もまた、
その繰り返しの中の一つなのかもしれない。

今日で終わりじゃない。

終わってほしくない。

こんな負け方をしたからこそ。

こんなに悔しいからこそ。

また来年、
同じ場所で叫びたい。

今はまだ立ち直れない。

でも。

いつかこの敗戦を振り返った時に、

「あの日があったから」

そう言える未来を、

私はまだ信じている。

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