62919☆れい 2021/09/10 11:43 (F-02L)
カズさんの今朝の日本経済新聞コラムです。

【サッカー人として】心の連係、チーム左右
日本経済新聞 朝刊 スポーツ
2021/9/10 2:00

 ワールドカップ(W杯)アジア最終予選での日本の初戦と2戦目の違いは、メンタルコンディションの差でもあったように思う。

 試合前は「どうかな」という感じでも、最初のプレーがうまくいくと自然と乗れることがあるし、士気は高いはずが、最初のプレーでしくじって引きずることもある。うまくいかなかった試合は僕も思い当たる。

 プレーとはまた別の「心の連係」みたいなものがサッカーにはあってね。11人のうち4〜5人のメンタルが整っていないと、ほかのメンバーも引きずられてパフォーマンスは落ちうる。逆にメンタルの強い人間が1人いることで、全員がつられて頑張れてしまう試合もある。この営みは見えないし、つかみづらい。

 きょうこそ点を取らなくては。取れなかったら、それで負けたら……。考え出すとネガティブ思考がどうしたって頭をよぎる。プレッシャーにすくみかける。

 中国戦で得点した大迫勇也選手の表情は、他のゴールのときとは違っていた。素直な喜びというよりは怒りに似た迫力があった。オマーン戦での自分に対する憤り、それらを覆してみせたぞという心の叫び。ああいう激情が出るのがFWという種族でね。それだけのものを背負っているんだ。

 プレッシャーという厄介者に対しては、日ごろからコントロールするイメージを持っておくしかないね。失敗がちらついた途端にネガティブにならない習慣を普段から身につけておく。

 僕の場合だと代表活動中のホテルでは、雑念を払って「無」になれる環境をつくっていた。外からの情報は一切シャットアウト。重圧の逃がし口も必要でね。

 中国戦当日、長友佑都選手からメッセージがきた。「スープ、どれが気に入りましたか」。彼が製作に携わった自慢の5品目ほどをもらっていた。緊迫みなぎる一戦を前に、スープ。この余裕に「中国戦は大丈夫だな」と僕は思いました。

 持ち上げられ、こき下ろされ、どちらも経験してきた彼は、むしろプレッシャーという刺激を自分から欲しているんだろう。人生にプレッシャーは様々あれども、なければないでダメとも思う。刺激が加えられないと人間は弱る。代表でいえば、背負いきれないようなあのプレッシャーが選手を強くする。

(元日本代表、横浜FC)
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