【J1昇格PO】史上初GKがVヘッド!山岸決めた山形昇格王手
◆J1昇格プレーオフ準決勝 磐田1―2山形(30日・ヤマハスタジアム)
6位の山形が試合終了間際にGKのヘディングゴールで勝ち越す劇的な展開で決勝に進んだ。後半ロスタイムにGK山岸範宏(36)が右CKをヘディングで押し込み、4位・磐田に2―1と競り勝った。浦和から6月に期限付きで加入した元日本代表のJリーグ公式戦史上7点目となるGKの得点で、4季ぶりのJ1復帰に王手。12月7日の決勝(東京・味スタ)で3位の千葉と対戦する。
思いは通じ、奇跡的な結末を生んだ。1―1で迎えた後半ロスタイム。山岸は自然と磐田ゴール前に向かった。自陣はガラ空き。それでも「コースを変えれば、中で何かが起きると思った」。右CKにニアサイドでジャンプ。側頭部でとらえた弾道は思惑に反して左サイドネットに絡まった。
「もう2度と同じことは繰り返せない。本当はゴールした後に走れたら格好いいんですが、慣れていないんで、うつぶせになってました」。引き分けではリーグ戦下位のため敗退となる。まさに起死回生の一発だった。
実は予感があった。リーグ最終戦・東京V戦前、6位以内のプレーオフ圏内争いで得点が必要な場面を想定し、笹原義巳GKコーチ(40)と数本、CKからのヘッドを練習した。「僕の知らないところで練習していたそうです。ただ、あんなに素晴らしいゴールは入らなかったと言っていました」と石崎信弘監督(56)も驚きの表情で振り返った。
今年6月、出場機会を求めて01年から一筋だった浦和を出た。加入後すぐ、「勝ってみろ」という横断幕に激高。サポーターと口論した。「正直、むかついた。同じ仲間として一緒に戦いたかった」。思いを口に出すキャラクターは、じっと耐える山形の“おしん気質”も変えた。「成長するために互いに要求し合うべき」と主張してキャプテンマークも巻き、一時は17位に沈んだチームをV字回復させた。
11年以来のJ1まであと1勝。天皇杯でもクラブ初の決勝(12月13日、対G大阪)に進んでいる。それでも「まだ何もつかんでいない。浮かれないことが大事」。36歳の元日本代表は、結果を残すことが何より大事なことを知っている。(網野 大一郎)
◆山岸 範宏(やまぎし・のりひろ)1978年5月17日、埼玉・熊谷市生まれ。36歳。2001年に中京大から浦和入団。2年目にリーグ戦26試合に出場し、以後は元日本代表GKの都築龍太とレギュラー争いを展開。06年にオシム・ジャパンに呼ばれたが、国際Aマッチ出場なし。今年6月に山形に期限付き移籍。6月21日の讃岐戦から、リーグ戦24試合にフル出場した。185センチ、88キロ。
◆GKのゴール GKの頭でのゴールはJリーグの公式戦では初。他はすべて足によるもの。1995年のJリーグ第1ステージ第25節(7月19日)・清水戦で、横浜MのGK川口能活(現岐阜)が後半ロスタイムに相手ゴール前に上がり、CKを頭で合わせたが、ポスト直撃でゴールとはならなかった。
◆J1昇格プレーオフ すべて90分間の一発勝負。引き分けの場合は年間順位が上のチームの勝ちとなり、延長戦はない。今季は5位の北九州がJ1ライセンスを持たないため、3位の千葉が準決勝を免除された。